学習コーナー
運動器系の痛み [貴方の病気のタイプ]
1 腰 痛
腰痛を起こす病証タイプの中でよくみられるものには、寒湿タイプ・気血阻滞タイプ・瘀血タイプ・腎虚タイプ(腎陰虚と腎陽虚を含む)があります。
「痛みの概括」のところで説明した虚実性でいうと、実証に属するのは寒湿タイプ・気血阻滞タイプ・瘀血タイプで、虚証に属するのは腎虚タイプです。
寒湿タイプ:天候や冷房あるいは発汗などによって、腰が冷えたり湿気に侵されたりして発症するタイプで、激しいものでは「ギックリ腰」を起こします。この場合のギックリ腰は、疲れているところに気温の低下や雨が影響し、軽く体を曲げ伸ばししたり、軽い物を持ち上げたりした拍子に起こります。痛みの特徴は、冷えて痛むか重く痛み、患部に触れると冷たく、特に冷えが強いと、筋肉が硬くこわばって曲げ伸ばしができなくなります。
気血阻滞タイプ:打撲などの外傷や、必要以上の曲げ伸ばしで起こるほか、重いものを持ち上げるなどの加重によって起こるギックリ腰もこのタイプに属します。ギックリ腰の場合は、一般に一過性で、数日から数週で治りますが、瘀血タイプに移行すると長引きます。また反復して慢性化すると腎虚タイプにも移行します。
瘀血タイプ:外傷の後遺症やヘルニアなどで、いつも定まった部位が刺す様に痛むのがこのタイプで、夜中やじっとしているときでも痛みます。婦人の場合は、難産や流産なども原因となります。
腎虚タイプ:痛みは激しくはありませんが、普段から鈍痛を起こしやすく、長時間の歩行や立ちっ放しでいるとつらくなります。また、腰や膝に力が入らず、揉んで貰うと非常に気持ちよく感じます。このタイプはさらに腎陽虚と腎陰虚に分けられますが、腎陽虚では足腰が冷えて、寒いと悪化します。腎陰虚の場合は、疲れると足の裏のほてりやこむら返りなどが起こります。
腰痛の治療には、さらに罹患している経絡の違いを鑑別することも必要で、とくに実証に属するタイプに鍼灸治療する場合は、経穴(ツボ)を選択する上で重要なファクターになります。腰部の経絡には、中央を循行する「足太陽膀胱経(あしのたいようぼうこうけい)」や「督脈(とくみゃく)」と、外側を循行する「足少陽胆経(あしのしょうようたんけい)」があります。疼痛部位がどの経絡にあるのかという以外に、一般に、太陽膀胱経や督脈が傷害されると、上体を前後に曲げ伸ばしする動作で痛みが出やすくなり、少陽胆経が傷害されると、左右の曲げ伸ばしや横にひねる動作で痛みが出やすくなります。
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