学習コーナー
癌(悪性腫瘍) [貴方の病気のタイプ]
2-1 各論①
1) 肺癌
肺癌を起こす主な病証タイプには、痰湿タイプ・瘀血タイプ・陰虚タイプ・気陰両虚タイプなどがあります。初期で体力の消耗がまだ少ない人には、痰湿タイプか瘀血タイプが見られることが多く、慢性化して、体力の消耗が進んでいる人には陰虚タイプか気陰両虚タイプが多くなります。
痰湿タイプ:「痰湿」(津液が滞ったもの)が中心となって腫瘍(塊)を形成したタイプです。このタイプの特徴は、咳とともに痰が多く出る、痰は白っぽくて粘り気がある、胸がつまるように痛む、食欲減退、軟便、舌に白くねっとりした苔がつくなどの症状が現れることです。このタイプには「痰火」という熱化型もあって、その場合、痰は色が黄色か緑色で異臭がする、粘って排出しにくい、人によっては血が混じるなどの特徴が加わります。
瘀血タイプ:「瘀血」(血が滞ったもの)が中心となって腫瘍(塊)を形成したタイプです。瘀血の形成には、熱邪が長らく肺を傷害するうちに熱が血を煮詰めてできる場合や、痰湿の滞りによって血の流れも阻害されてできる場合(これを「痰瘀互結(たんおごけつ)」という)などがあります。このタイプの特徴は、黒っぽい血が痰に混じる、咳をするときに胸や背中のいつも同じ所が痛む、痛みは刺すように感じる、唇や舌の色が暗く紫色っぽいなどの症状が現れることです。
陰虚タイプ:癌が長引くうちに体力が消耗した虚証のタイプの一つです。このタイプの特徴は、身体が痩せ細り、乾燥したり微熱が出たりする、痰は少なくカラ咳が出る、少ない痰の中によく血が混じる、胸の鈍痛、胸に熱感があり眠れない、寝汗、口が渇く、便秘、舌の色が紅いなどの症状が現れることです。
気陰両虚タイプ:陰虚タイプと同様にして起こった虚証に属しますが、消耗が肺の陰液のみならず、気にまで及んで、陰虚に気虚を伴うようになったタイプです。このタイプの特徴は、陰虚タイプの症状に加えて、咳の音やしゃべる声が弱々しい、すぐに息切れする、体に力が入らない、少し動いただけで汗が出るなどが現れることです。
通常、呼吸器系の疾患では、慢性化すると肺の虚が脾や腎に及びやすく、脾気虚を伴って食欲の減退やめまいや立眩みを訴える人、腎陰虚を伴って吸気困難(息を吸うのが苦しい)、足腰のだるさを訴える人などもいますので、複雑な症状を訴える場合は専門家の判断を仰ぐとよいでしょう。
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