学習コーナー
婦人科疾患 [貴方の病気のタイプ]
2-2 月経不順②
2) 経遅(月経が遅れる不順)
前回の経早と同じように、ちょっと月経周期が長いだけで異常だと考える必要はなく、たとえば30日や31日でも安定していれば問題ありません。また、たまたま1回遅くなったというのも問題ありません。しかし、それまでより5日以上の遅れが毎月続くようになったり、元々から35日以上の周期になりやすい方は、その原因を考えた方がよいでしょう。経遅によく見られる病証は、ストレスや緊張が原因する「肝鬱タイプ」、および寒冷や冷たいものの食べ過ぎが原因する「寒邪タイプ」といった実証に属すものと、「陽虚タイプ」と「血虚タイプ」などの虚弱体質による虚証に属すものとに分けられます。
一般に実証に属すものは、ある月から月経が突然大幅に遅れだしますが、虚証に属すものは、徐々に周期が長くなってきます。これに加えてさらに、次のような個々のタイプの違いがありますので、参考にして自分のタイプを見分け、予防や対処につなげて下さい。
肝鬱タイプ:ストレスや緊張が強まった月は余計に遅れる、下腹部が張って痛む、生理前の乳房の張りやイライラが以前より強い、など。そのほかの症状については、基礎知識の「肝胆の病証タイプ」を参照してください。
寒邪タイプ:月経血は暗い紅色をしていて血の塊が混じることもある、触れると下腹部が冷たい、下腹部が絞られるように痛み温めると和らぐ、など。
陽虚タイプ:このタイプには、初潮の時からずっと遅れている人と、ある時から遅れだす人とがいます。初潮の時からずっと遅れている人は、先天的に陽気が不足していて身体を温める力が弱いことが原因しているため、幼少期から寒がりで体力もありません。ある時から遅れだした人の多くは、上記の寒邪タイプの人が慢性化することでこのタイプに移行したものです。両方とも症状の特徴としては、寒邪のタイプと同様に下腹部が触ると冷たくなっていますが、寒邪タイプと異なるのは、あまり月経痛は強くなく、人によっては透明で水っぽいおりものが出ます。そのほかの症状については、基礎知識の「気血津液の虚証」を参照してください。
血虚タイプ:このタイプにも、初潮の時からずっと遅れている人と、ある時から遅れだす人とがいます。初潮の時からずっと遅れている人は、幼少期から痩せ気味で多くは貧血気味の人です。ある時から遅れだしたという人は、遅れだす前に出産や流産などによる大量出血があったり、急激なダイエットなどで血の生産が足りなくなった人にみられます。症状の特徴は、月経血が淡い色で希薄な感じ、月経痛は軽度であってもどん痛程度、月経時に動悸やめまいが強まる、など。そのほかの症状については、基礎知識の「気血津液の虚証」を参照してください。
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