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婦人科疾患 [貴方の病気のタイプ]


2-1 月経不順①

月経の周期(通常は28日前後)が一定であることは、健康な女性のバロメータのひとつです。月経の不順をあまり気にしない人もいますが、通常何かの原因があって乱れている訳ですから、その原因を知ることは、不妊や子宮筋腫およびひどい更年期障害など、将来の大きな問題を予防できるチャンスともいえるのです。中医学で言う原因とは、病院で指摘される「ホルモンの異常」ではありません。もしホルモンに異常があっても、そのホルモンが乱れる原因は…と突き詰めていくと、必ず日常生活や体質に行き着くわけですが、中医学は最初からその部分を原因として、対応する医学なのです。

 

まず、月経不順は一方的に早まる不順・一方的に遅れる不順・早まったり遅くなったりする不順の3つに分類されます。専門用語では、それぞれ「経早」「経遅」「経乱」といいます。一部の鍼灸院や薬局などでは、これらの相違さえ聞かずに、月経不順には「どこどこのツボが効く」「漢方の○○湯がいい」などと決めつけてしまうところがありますが、それぞれに失調するメカニズムや体質タイプが異なりますので、しっかりと説明してもらえるところを受診してください。

 

1) 経早(月経が早まる不順)

通常の月経周期を28日と紹介しましたが、個人差があるので、ちょっと短いだけで異常だと考える必要はありません。たとえば、26日前後で安定している場合は問題ありません。しかし、今まで28日くらいだったのが、25日より短くなったのであれば、その原因を考えた方がよいでしょう。一般に経早によく見られる病証タイプには、ストレスや緊張が原因する「鬱熱タイプ」、食べ物や熱性病の後遺症などが原因する「実熱タイプ」、虚弱体質による「陰虚タイプ」と「気虚タイプ」などがあります。

このうち、鬱熱タイプ・実熱タイプは実証に属すため、ある月から突然早まりだします。それに対して、陰虚タイプ・気虚タイプは虚証に属すため、徐々に周期が短くなってきます。また、鬱熱タイプ・実熱タイプ・陰虚タイプはいずれも熱が血に影響しているため、月経血は濃い紅色をしていて粘り気があります。それに対して気虚タイプでは、月経血が淡い色で希薄な感じです。

これ以外の個々のタイプの特徴は次の通りですので、自分のタイプを見分けて予防や対処につなげて下さい。

 

鬱熱タイプ:ストレスや緊張が強まると余計に早くなる、下腹部が張って痛む、生理前に乳房が張ったりイライラしたりする、など。そのほかの症状については、基礎知識の「肝胆の病証タイプ」を参照してください。

 

実熱タイプ:経血量が多くひどいと熱感を伴って流出する、辛いものを多く食べると余計に早まる、など。そのほかにも、便秘・咽が渇く・口臭が強まるなど、胃腸の熱による症状を伴います。

 

陰虚タイプ:同じ虚弱体質でも、高熱が出るような病気の後遺症や性行為の過剰などで、陰血が消耗して起こるタイプです。体質的には細身で、手足がほてる、夜間に咽が乾燥する、寝つきが悪く夢が多いなどの、陰虚による症状(基礎知識の「気血津液の虚証」を参照)を伴います。また、鬱熱や実熱のタイプの人が慢性化するとこのタイプに移行することがあるほか、閉経直前に更年期障害として肝腎に陰虚が起こって発症する人もいます。

 

気虚タイプ:同じ虚弱体質でも、肉体的な過労などで体力が低下して起こるタイプのため、下腹部に力が入らない、ひどいと下から漏れ出るような感じがする、月経後に疲労感が強まる、などを伴いやすくなります。そのほかの症状については、基礎知識の「気血津液の虚証」を参照してください。

  

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