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内科系疾患 [貴方の病気のタイプ]

1 胃痛・腹痛

本項のうち腹痛は大腸を中心とした痛みです。同じ腹部の痛みでも、婦人科や泌尿器系のものは、この項目には入りません。また腹痛を胃痛といっしょに論じるのは、経絡でいうとどちらも陽明経に属するため、発症要因がほとんど同じであることによります。

 

胃痛や腹痛を起こす病証タイプには、実証に属す寒邪タイプ・食滞タイプ・肝鬱タイプ・実熱タイプと、虚証に属す気虚タイプ・虚寒タイプ(陽虚と同じ)・陰虚タイプなどがあります。両者は痛みの虚実性で大別され、実証が起こす実痛は、比較的強い痛みで急激に起こり、患部を押すと痛みが強まっていやな感じがします(拒按という)。これに対して虚証が起こす虚痛は、激痛ではないどん痛が慢性的に長く続き、患部をなでたり押さえたりすると気持ちよく感じます(喜按という)。

本項では、上記のタイプのうち、東洋医学の臨床で比較的多く見られるタイプについて紹介します。たとえば、食べ過ぎによって起こる食滞タイプは、日常よくみられるものの、ほとんどが一過性で、東洋医学の出番は少ないため割愛してあります。

 

寒邪タイプ:天候や冷房、あるいは冷たいものや生ものに偏って飲食するなどによって胃腸が冷えることで発症するタイプで、「胃寒証」と呼ばれます。痛みは、実痛の特徴に加えて、患部に触れると冷たく、自分でも冷えて痛くなるように感じ、温めると痛みが軽くなります。多くの場合に、腹部の冷え感とともに激しい下痢(水様便)がみられます。

 

肝鬱タイプ:ストレスや怒りや緊張によって起こる肝気鬱結が、胃腸の気の流れにも影響して発症するタイプで、「肝胃不和」と呼ばれます。痛みは、実痛の特徴に加えて、脹った感じの痛みが腹部の中央から肋骨の上や脇腹へ放散します。精神的な要因で、出たり消えたりが頻繁で、人によってげっぷやおならが出た後は軽くなります。このほかでは、基礎知識の中の「気血津液の実証にみられる症状」で紹介した気滞の症状を伴うことがあります。ストレス性の胃潰瘍や十二指腸潰瘍などは、これに属すことが多く、慢性化すると脾気虚の症状を伴う「肝脾不調」に発展します。

 

陽虚タイプ:冷え性の人に労倦が重なるか、寒邪タイプの腹痛が慢性化するかして、胃腸の陽気が損なわれることで発症したタイプで、「脾陽虚証」や「脾胃虚寒証」という病証名で呼ばれます。痛みは、虚痛の特徴に加えて、患部に触れると冷たく、自分でも冷えて痛くなるように感じ、温めると痛みが軽くなります。大便は普段から軟便ぎみで、冷たいものを食べると下痢になります。このほかでは、基礎知識の中の「気血津液の虚証にみられる症状」で紹介した気虚や陽虚の症状を伴うことがあります。

 

陰虚タイプ:元々身体が痩せぎみで、食も細くあまり太れない体質(胃陰虚体質)の人が、辛い物や刺激物を食べ過ぎたりすることで発症したタイプで、「胃陰虚証」という病証名で呼ばれます。このほかでは、熱性の胃腸病が長引いて胃陰が消耗しても起こります。痛みは、虚痛の特徴に加えて、ひどいと痛みに熱感を伴い、辛い物や刺激物を食べるとひどくなります。大便は普段から硬くて便秘ぎみです。このほかでは、基礎知識の中の「気血津液の虚証にみられる症状」で紹介した陰虚の症状を伴うことがあります。

 

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